FAKE‐LAKE

レイはしばらく怪訝そうに睨んでいたが、シアナの真剣な表情を見て口を開けた。

どちらにせよ死は近いのだ。それなら、最期まで人を信じてみよう。

こくりとレイの喉が動くのを確認し、シアナはほっと息をついた。

「少ししたら効いてくる。多少痛みが和らいで眠くなるだろうから、眠れるだけ眠れ」

レイは小さく頷く。シアナは床に彼を寝かせ頬をそっと撫でた。

「ごめんな……こんな事しかできなくて」

レイはゆっくり瞬きをし、謝るシアナを見上げた。優しい、でもどこか悲しげな眼差し。

この人を、信じよう。掠れた声で気持ちを伝える。

「あり……が、と」

シアナの表情が固まった。記憶の中、また声が聞こえる。

『ありがと……父さん』

目をつぶったレイにそっと自分の上着を掛けてやる。隣に座って頭を撫でた。



数年前。

街医者として働いていたシアナは妻と息子と幸せに暮らしていた。

シアナの技術はロスタナでも屈指の物で、他の街からも患者が来るほどだった。