FAKE‐LAKE

「行くぞ」
 レイはよろよろと博士の後をついていく。新たな傷を負ったせいか、何度もふらついて転んだ。
「立て」
 手をつけないので立ち上がるのにも時間がかかる。博士は起き上がろうとするレイを助けもせず、冷たい眼差しで見下ろしていた。
 一歩。また一歩。
 足を引きずりながら虚ろな表情で博士についていく姿は、まるで処刑場に連れていかれる囚人のようだ。
 聞き取れないほど小さな声でアンジェの名前を呟き、無意識な抵抗を続けるレイにとって向かう先は処刑場と大差ないかもしれない。


 その頃アンジェは基地に着いていた。見覚えのある扉まで来て彼は兵に言った。
「ここから先は一人で行けます。ついて来ないで下さい」
 アンジェは鍵の部分に左手をかざす。小さい頃教わったとおりに。
 ガチャと鍵が開く音がした。重たい扉を押し開ける。
 後ろからついて来ようとした二人にアンジェは振り向いた。少年とは思えない、恐ろしい目。
「聞こえませんでしたか」
 有無を言わせないアンジェの迫力に二人は後ずさった。
「ついて来るなと言ったんです」