FAKE‐LAKE

一見、扉が沢山あり病院のようにも見えるF基地内の通路。

しかし陽の光が届かぬ内側――独房内で行われてきたのは治療とは程遠い残虐な行為だ。それは今も変わらない。放り込まれる人数が減っただけで。

シアナが扉を開けると、案の定眼前で残酷なシーンが展開されていた。ターゲットの少年は傷だらけのぼろぼろで、すでにぐったりしている。

「もうよせ」

レイを“躾て”いた三人の兵は、いい所で現れた声の主を振り返った。

「それ以上やると死ぬぞ」

シアナは腕組みして壁にもたれた。仕事の邪魔だ、と聞こえるように付け加える。

「構うな」

兵の一人が舌打ちしながら言い、二人は鎖を引き上げた。

レイの体が首環一つで吊り上げられ宙に浮く。足の爪先まで血で汚れ、もがき方も弱々しい。

「止めろと言ったんだが。本当に死ぬぞ」

さっきより強い口調でシアナは再度警告した。脅しではなく、純然たる事実だ。

「医者あがりのただの捜査員が余計な口出しをするな」

いかにも見下している兵の命令を、シアナは鼻で笑った。

「別に俺は構わないさ、そいつが死んでも。構うのはお前達だろ?」

その言葉に、三人とも一瞬動きを止めた。