FAKE‐LAKE

「……お前」

「ほう、覚えているのか私を」

博士は手をのばし、怯えているレイの頬に優しげに触れた。

「探したんだぞ。お前が無事か心配で」

「嘘言うな!」

レイは逃げようと必死でもがいた。嫌だ。捕まりたくない。もう二度とこの男の顔を見たくないのに。

す、と博士は小さな袋をレイの目の前に差し出した。見覚えのある、小さな紙袋。

「これが欲しいんだろ? 大切な“お兄さん”のために」

アンジェの薬。レイの目の色が変わる。

「よこせよ! 早くアンジェに飲ませないと死んじゃう」

「お前次第だ」

月明かりに照らされた博士の不気味な笑みに、レイは思わず身震いした。

「お前が基地に戻るならアンジェに薬をやろう」