FAKE‐LAKE

タンスから探し出したニットの帽子を深く被り、髪を隠す。

太陽は地平線に姿を隠し、濃さを増していく紺色が朱い残照を飲み込み始めている。

暗ければ瞳の色は目立たないだろう。

レイは窓ガラスに自分の姿を映した。

ぶかぶかなアンジェの古い上着、目元まで深く被ったダークグリーンの帽子。

その下の不安そうな瞳に言い聞かせる。

「大丈夫。……信じろ」

レイはソファーで眠っているアンジェに声をかけた。

「アンジェ、待ってて。必ず薬を貰ってくるから」

紫紺から漆黒に移りゆく空。外へ足を踏み出したレイは、いつもニールが帰っていく方向へと走り出した。

後ろから、黒い影につけられているとは知らずに。