FAKE‐LAKE

「記事も書けるし配達も早いし顧客の勧誘もピカイチだった。近年稀に見る優秀な従業員だったよ」

「シアナが……」

所長さんは固まっているニールを振り返り、不思議そうに聞いた。

「そう言えばなんでコラムの記者を?」

「あ、いやおれこのコラムの大ファンで、知りたいなと思ったりして、あはは」

「そうだろう? 私も大ファンだったんだがね」

さらに話を続けようとする所長さんに手早く礼を言い、ニールは配達所を飛び出した。心臓が飛び出しそうな程バクバクいっている。

「まさか……まさかそんな訳……」

沸き上がる疑念を打ち消そうとするニールの耳に所長さんの声が響く。

『書いたのはシアナ』

家に逃げ帰り、部屋に篭った。今日が休みの日でよかった。こんなんじゃ仕事にならない。

ニールは一つずつ情報を並べ直してみた。

水曜日、レイが捕まった。木曜日、シアナがリアレスクから消えた。

湖の妖精の記事を書いたのはシアナ。まるでレイを見た事があるかのように。姿を見たという情報を集めるかのように。

また頭が混乱してきたニールの目に、シアナがくれた地球儀が映った。