FAKE‐LAKE

「どうだった」
「まだ粘るつもりらしい。ばかな奴だ」
 二人の足音が遠ざかる。暗い廊下に軍靴の音と呆れたような声が響いた。
「あと五日か。あの調子じゃかなり締め上げないとな」
「ああ」
 アツキは二人が消えたのを確認し、扉の前に立った。
 無用心かつ幸いなことにセキュリティは稼動していない。商売道具を使って鍵を開け、静かに入り込む。
 通路側からはただの部屋に見えたそこは、中に入ると薄暗くて冷たい牢だった。
「……こりゃひでぇ……」
 所々に血の染みがある床に、少年は倒れていた。両手両足は枷に繋がれ、飼い犬のように鉄の首環を嵌められている。
 生々しい鞭の跡と無数の裂傷。血で汚れたずたずたの服と痣だらけの顔。
 アツキはレイの不思議な容姿より残酷な虐待の跡に目がいった。
「こんな子どもになんて事すんだ……」
 体の奥から怒りが込み上げてきた。絶対に許せない。
 アツキはいきなり近づいて驚かせないため、小さく床をつつきレイに呼びかけた。