「泥棒やめろってしつこく言ってたのはどこの誰だよ」
アツキに言われセティは床に目を落とした。
「それに、俺もう二度と盗みはしないってリーナに約束した。約束破るような事はしたくない」
アツキの気持ちは分かる。でも、すべてを一度で解決する良い方法が他に思い付かない。
セティはアツキに深く頭を下げた。初めて見る光景にアツキは唖然としている。
「頼む。アツキにしか頼めないんだ」
「そんな事言われても、俺はもうあれには触らない事にしたんだ。無理だよ」
アツキがきっぱりと断ると、セティは立ち上がって服の散乱した床に膝をついた。
「ちょ、セティ、一体何の真似だよ」
「頼む。この通り」
土下座するセティにアツキは戸惑う。
人を小ばかにする事はあっても頭を下げる事はないと思えたセティが、何故ここまでするのか。
「せめて……話だけでも聞いてくれないか」
真剣なセティの口調に、アツキはしぶしぶ頷いた。
「話だけなら」
セティは床に膝をついたまま話しだした。
散乱している白、黒、灰色。目に映るモノトーンの向こうにレイとアンジェの姿が浮かんだ。
「ある少年を盗みだして欲しいんだ」
「少年?」
てっきり機密文書か何かを盗んできて欲しいのかと思っていたアツキは驚いた。何故、人間を“盗む”必要があるんだ。続くセティの説明を聞くため身を乗り出す。
「俺が一歩遅かったせいで彼は捕まった。今F基地に監禁されている」
「F基地に監禁……」
アツキの表情が変わった。F基地というその単語がただならぬ意味を持っている事を、身をもって知っているからだ。
「恐らく殺されはしない。ただ、虐待されている事は確かだ」
悔しそうにセティは宙を睨んだ。すぐに実験を始めてもいいはずなのに、博士は二週間の空白を作った。それは、きっと。
『実験がスムーズに行くように躾をしておく』
セティはぐっと拳を握る。
「どうしても彼を助けたい。でも下手に動くと彼もアンジェ……リアレスクの患者も殺されてしまうんだ」
アツキに言われセティは床に目を落とした。
「それに、俺もう二度と盗みはしないってリーナに約束した。約束破るような事はしたくない」
アツキの気持ちは分かる。でも、すべてを一度で解決する良い方法が他に思い付かない。
セティはアツキに深く頭を下げた。初めて見る光景にアツキは唖然としている。
「頼む。アツキにしか頼めないんだ」
「そんな事言われても、俺はもうあれには触らない事にしたんだ。無理だよ」
アツキがきっぱりと断ると、セティは立ち上がって服の散乱した床に膝をついた。
「ちょ、セティ、一体何の真似だよ」
「頼む。この通り」
土下座するセティにアツキは戸惑う。
人を小ばかにする事はあっても頭を下げる事はないと思えたセティが、何故ここまでするのか。
「せめて……話だけでも聞いてくれないか」
真剣なセティの口調に、アツキはしぶしぶ頷いた。
「話だけなら」
セティは床に膝をついたまま話しだした。
散乱している白、黒、灰色。目に映るモノトーンの向こうにレイとアンジェの姿が浮かんだ。
「ある少年を盗みだして欲しいんだ」
「少年?」
てっきり機密文書か何かを盗んできて欲しいのかと思っていたアツキは驚いた。何故、人間を“盗む”必要があるんだ。続くセティの説明を聞くため身を乗り出す。
「俺が一歩遅かったせいで彼は捕まった。今F基地に監禁されている」
「F基地に監禁……」
アツキの表情が変わった。F基地というその単語がただならぬ意味を持っている事を、身をもって知っているからだ。
「恐らく殺されはしない。ただ、虐待されている事は確かだ」
悔しそうにセティは宙を睨んだ。すぐに実験を始めてもいいはずなのに、博士は二週間の空白を作った。それは、きっと。
『実験がスムーズに行くように躾をしておく』
セティはぐっと拳を握る。
「どうしても彼を助けたい。でも下手に動くと彼もアンジェ……リアレスクの患者も殺されてしまうんだ」



