FAKE‐LAKE

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「おはよう所長さん! シアナいますか?」
 次の日の朝一番、ニールは例の件を尋ねに新聞配達所に飛び込んだ。早くとアンジェに頼まれたし、自分も早く知りたかった。
「おはようニール君。シアナに用かい?」
「はい! ちょっと聞きたい事があって」
 所長は悲しげに眉を八の字に寄せ、残念そうに告げた。
「シアナなら先週の木曜日で辞めたよ。何でも故郷のお母さんが倒れてシアナ以外身寄りがないからどうしても帰らなきゃ行けないとかで」
「え、シアナ辞めちゃったんすか?」
 だから最近違う配達員が来てたのか。てっきりまた旅行なんだろうと思っていたのに。
「惜しい人材だったよ。仕事は出来るしお客様の評価も良いし」
 本当に残念だと、所長は深く溜息をついた。
「もう戻ってこれないそうだ。寂しいな」
「そっか……」
 ニールも肩を落とした。あのシアナがいきなり居なくなるなんて、お母さんの具合はよほど悪いんだろう。
「じゃさ、一つ聞いていいすか?」
「なんだい」
 ニールは“湖の妖精”のコラムが載っている新聞を見せて聞いた。
「この記事書いたの誰かわかりますか?」
 所長さんはさっと目を通し、ああと手を叩いた。
「このコラムね、結構人気だったんだよ」
「で? 誰が書いてたかわかります?」
 ニールは内心ドキドキしながら答えを待った。
 少しだけ探偵の気分。しっかり聞いてアンジェに教えてやらなきゃ。
「シアナだよ」
「……え?」
 思いも寄らない名前を言われ、ニールは耳を疑った。思考と笑顔がそのまま凍りつく。