FAKE‐LAKE



「とりあえず応急処置はしましたがこのまま“躾”を続ければ確実に死にます」
 シアナはレイの様子を博士に報告した。いつものように、冷静に。
「わかっている。だからお前に頼んでいるんだ」
 博士は驚いた風もなく答える。計算通りだとでも言うように。
「なに、たったの二週間だ。たいしたことはない」
 シアナは表情を変えずに博士の話を聞き流し口を開いた。
「博士」
「なんだ」
「あの歳なら、虐待より懐柔のほうが上手くいくのではないかと」
 シアナの言葉に博士は深く溜息をついた。机の上に開いたファイルをとんと指で叩く。
「その方法は実験済みだ。そして見事に失敗した。ミイラ取りがミイラになってな」
 自分の前に立っているシアナを見上げ、博士は続ける。
「何故、懐柔を勧める?」
 何かを探るような博士の目にびくともせず、視線を逸らさずにシアナは答えた。
「短気なものですから早く決着がついたほうがいいかと」