FAKE‐LAKE

「危険って、坊ちゃんに何かあった訳? マーリャ」
 よくはわからないけど、と言ってマーリャは奥の部屋を見遣った。
「何度断っても、どういう訳か依頼人がニールにこだわるの。それでアルクが怒って」
 もしかして、アンジェが何か危険な目にあったのか? レイは? おれが行けなかった間に一体何が起こったんだ?
 ニールはいても立ってもいられず、アルクと依頼人がいる部屋に入っていった。
「親方」
 アルクは静かにニールの方を見た。思わず後ずさりする程怖い顔をしている。
 その向かい側に、依頼人とおぼしき青年が座っていた。予想に反して若い依頼人にニールは驚く。
「親方、おれ」
「お前は外していなさい」
 怒りの篭った低い声にニールは一瞬怯んだ。
 でも、知りたい。何があったのか。
「で、でも坊ちゃんが危険な目にあったかも知れないのに」
 アルクは黙って立ち上がった。