FAKE‐LAKE

「ご飯、食べられる?」
 アンジェは首を横に振った。
「少し休めば……」
 胸を押さえて呻く。レイはそばに座ってただ見ているしかなかった。
「……レイ」
 アンジェは不安で涙目になっているレイに手を差し出す。
「怖いから……手、貸して……」
 レイはアンジェの大きな左手を迷わず両手で握った。ほっとしたようにアンジェは目をつぶる。
「アンジェ頑張って」
 他に言葉が見つからず、レイはただアンジェの無事を願った。


 苦しそうに呻くのと楽になるのを繰り返すアンジェを、レイは一日中付きっ切りで看病した。
「薬さえあれば……」
 レイは夕焼け空を見つめて呟いた。
「薬……」
 アンジェが突然苦しみだす。苦しさに耐えるため強く握られた手が痛い。
「アンジェ」
 虚ろな目が薄く開きレイを見た。苦しいはずなのにアンジェは笑顔を見せようとする。レイの頬に涙が伝った。
「アンジェ、死なないで」
 お願い。アンジェを助けて。お願い、誰か……!
 ふと、レイの脳裏にある人の姿が過ぎった。
「……ニール」
 ニールにさえ会えたら、アンジェの薬を貰えるかもしれない。このままじゃ、ニールが来る前に――いや、今すぐにだってアンジェがどうかなってしまうかも知れない。迷ってる時間は無い。
 ぐいと涙を拭い、レイは覚悟を決めた。