FAKE‐LAKE

博士は椅子の背もたれにギシ、と寄り掛かった。あごに手をやり、何か考えている。

「望む望まず関係なくRを自分の意志で戻らせ、なおかつAであるか確認しそうであれば抵抗させずに連れ戻す方法……いかがでしょうか」

シアナは博士の反応を待つ。博士は感心したように息を吐き、目の前にいる冷たい表情の捜査員を見つめた。

「全く、君は優秀すぎるな。たまに怖いくらいだ」

そう言いつつ博士は満足そうに笑う。

「……博士にはお世話になりましたから」

シアナは無表情のまま言った。声にも感情が感じられない。リアレスクの新聞配達員のシアナと同一人物とは、とても思えないほどに。

「そうか、君の息子が亡くなってもう三年経つのか」

早いな、と目を細めて遠くを見る博士の姿を冷静に見つめている青い瞳からも、彼の心の内は覗けない。

「では計画を書面にして後ほど伺います」

一礼して研究室を出ていくシアナに、博士は溜息をついて首を傾げた。

「何を考えているのか分からん」

シアナは恐ろしく頭は切れるが、セトナと違って協力的と言うよりはただ言われた仕事を淡々とこなしている。裏で何か考えているのかと疑いたくなる時もある位、無表情だ。

「まあ、息子の件があるからそう簡単に裏切らせないがな」

自分に確認させるように博士は一人頷いた。