「おはよう」
次の日、朝早く仕事場に向かう途中、ニールはシアナに声をかけられた。
「おはよ、シアナ。早いね」
あ、朝刊配達終わったとこかと言うニールにシアナは意味ありげな笑みを浮かべた。
「ニールこそ早いじゃないか。朝帰りなんてうらやましい」
きょとんとしているニールにシアナは言う。
「昨日ニールに会いに行ったらいなくてさ。リルが言ってたよ、お兄ちゃんに彼女が出来たらしいって」
「かの……」
シアナの言う『朝帰り』の意味が分かって、ニールはなぜか慌てた。
「違うよ、友達んとこ! おれ、彼女なんていないし」
「隠す事ないだろ? ニールももう成人なんだし彼女の一人や二人いてもおかしくない」
「いや、違うから! しかも二人いたら問題だろ」
確かに、とシアナは爽やかに笑った。
「で? 彼女は美人? それとも可愛い系?」
「だから、違うって! おれシアナと違ってモテないし!」
力いっぱい否定するニールにシアナはなぜか残念そうな顔をする。
「なんだ違うのか、残念」
「何が残念なんだよ」
その問いには答えず、シアナは楽しそうに笑った。悔しいけどやっぱりカッコイイ。
「あ、もしかしておれに用事あった?」
「いや、たまたま休みだったからニールと話でもしようかとね」
「じゃ今晩うちに来る? 妹達喜ぶし」
ニールが妹達を強調して言うとシアナはごめん、と申し訳なさそうに首を振った。
「今日は先約があるから」
「熱愛中の彼女と?」
からかうように言った台詞にシアナは爽やかに答える。
「ばれたか」
「ったく、独り者の前でのろけるなよ」
口を尖らせるニールの肩に、シアナはすっと手をのばした。



