FAKE‐LAKE

と、ひょっこりドアから可愛い顔が出て来る。

「中で待ってればいいのに」

「主がいないのに?」

アツキが遠慮して膝を抱え直すと、リーナはからかうように言った。

「悪い事して廊下に立たされてる生徒みたいだよ」

学校に行っていないアツキにはリーナの言う光景を想像出来ない。とりあえず笑って合わせておいた。

「どうしたの? いつも普通に叔父さんの部屋に入り浸ってたじゃない」

ね、入ろうよとリーナに手を引っ張られてアツキは立ち上がった。

セティの部屋は広い。というかこの家は無駄に広い部屋が多い。

三階建ての古い洋館。外から見た感じは美術館だが、中に入るとまるで廃屋だ。

二階三階は全く使われていない。一度興味本位で探検したが、埃にまみれた古い辞書やら紙が茶色に変色した百科辞典、蜘蛛の巣が掛かった小難しいタイトルの分厚い本が乱雑に置いてある部屋ばかりだ。

しかも、部屋の壁や床にはやたら穴が開いている。アツキが潜入に失敗した原因だ。

まあそのおかげでセティとリーナに会えた訳だし、今では少しばかり床の穴に感謝している。