FAKE‐LAKE

「そうだ。お水と食事、持って来るね」

「え、レイが作ったの?」

アンジェの問いに、少し得意そうにレイは頷いた。

「いつもアンジェの作るとこ見てたから真似してみたの。待っててね、すぐに温めてくる」

元気な足音が階下へ消えていく。

アンジェは大きく息をついた。少し躊躇した後、そっと左腕の袖をめくる。そこには薄くなってはいるが、肌を削り取った跡が残っていた。

レイの左腕にあるのと同じ印があった場所。アンジェの表情が歪んだ。怒りとも悲しみともつかない複雑な感情が込み上げてくる。

「忘れたままで、いたかったのに……」

そう“これ”が、僕がここに居る理由。そして一番知りたくなかった事。

――僕は、兵器。レイと同じ、博士の“道具”。

不自然な大きさの左手を見つめているアンジェの視界が、次第にぼやけていった。