FAKE‐LAKE

「アンジェがうらやましいよ。僕、見た目がおかしいから、化け物って博士の仲間に呼ばれてた。好きでこんな姿になったんじゃないのに、人間じゃないって、気味が悪いって、異常だって……」
 アンジェが何か言いかけるのを遮ってレイは叫ぶ。
「こんな変な体いらない! おかしな力もいらない! 僕はただ、普通になりたい……!」
 レイはテーブルに突っ伏して泣いた。肘にぶつかった皿がカチャ、と音をたてる。
「普通にっ……なりたい……」
 かける言葉が見つからず、アンジェは黙ってレイを見つめていた。左腕が痛む。次第に痛みは強くなる。
 しばらくの間、静かな居間にレイの嗚咽だけが聞こえていた。
「……レイ」
 レイの肩の震えがおさまってきたのでアンジェは口を開いた。声が珍しく震える。誰かに話すのが初めてだからだろうか。
「僕は普通じゃないよ」
 驚いたレイは顔をあげた。涙がぽたりと手の甲に落ちる。
「え?」
 聞き返すレイにもう一度言う。
「僕は……いや、僕も。普通じゃないんだ」