FAKE‐LAKE

「わかった。秘密厳守で誰にも言わない」
 ニールが真面目な顔で言うのを聞いてアンジェはやっと力を緩めた。
 レイを見たのがニールでよかった。これが先生だったらどうなっていたか、考えただけで背筋が凍る。
「あのさ、一つだけ教えてくれよ」
「……何?」
 何を聞かれるのだろう、とアンジェは身構えた。
「あの子、人間なのか?」
 ニールは『妖精じゃないのか』と口にしかけてやめた。この歳になっても妖精を信じていると思われるのは恥ずかしい。
「うん。そう見えないかもしれないけど、僕達と何も変わらない、普通の人間だよ」
「そ、そうか」
 そうだよな、とアンジェの答えに相槌をうち、ニールはぎこちなく笑った。
「あ、まずい。びっくりして荷物まかしちゃったんだ」
 ひとまずアンジェを支えて家に戻る。
 荷物をしまっている間も、前回の続きで地図を説明している間も、ニールはどこか上の空だった。
 ――本当に大丈夫かな。
 一抹の不安を感じつつ、アンジェはニールを信じる事にした。
 信じる以外、どうしようもなかった。