FAKE‐LAKE

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あれはいつの事だろう。時間の感覚も視界も空間も、ぐんにゃりと歪んでいるように感じた。

体が動かない。目も開かない。ただ、耳の感覚だけははっきりしていて、周りの会話や音を聞き取っていた。

「迷惑をかけてすまない、セトナ。しかし君にしか頼めなくて」

「大丈夫ですよ、ウェッジウッド教授。今夜中に移します。ただ、場所はあなたにも教えません……知っている人間は少ない方がいいですからね」

おじさん、誰と話してるの?

そう聞きたいのに口が動かない。ふわり、と誰かに抱き上げられた感覚が不安を煽る。

「落ち着いたら連絡してください。アンジェの体調や様子等報告しますから」

本当にすまない、と謝るおじさんの声がする。

ねぇ、おじさん。僕はどこに連れていかれるの?

嫌だ、嫌だよ。おじさんと離れたくない。