FAKE‐LAKE

「叔父さん、昼には帰るって言ってたから、ご飯作って来たのにな」
 リーナは楕円形のガラステーブルに置いてあるクリーム色のカゴをつついた。彼女の姓と同じコーラルのネイルがよく似合っている。
「最近叔父さんものすっごい忙しいみたい。体壊さないといいんだけど」
 溜息まじりに呟く彼女に、ふと疑問がわいた。それはきっとここに来てからずっと感じていたもの。
 リーナのセティに対する気遣いは、姪が仲の良い叔父を案じていると言うよりは、娘が父親を思う温かい気遣いのように見える。
「リーナ」
「何?」
「変な事聞くけどさ。セティって本当にリーナの“叔父”なの?」
 アツキが何げなく尋ねた質問に、リーナの笑顔が消えた。ふっと息を吹き掛けられて消えるローソクの炎のように。
 まずい事を聞いたかも知れない。何かフォローしようと思って考えていると、リーナは小さく微笑んだ。
「鋭いね、アツキ」
 胸がぎゅ、と掴まれるような寂しい笑顔。
 茶色の大きな瞳がアツキの事をまっすぐに見つめていた。