今日の空より少し淡い水色の髪。服というより布を羽織ったと言った方が正解な、変わった格好。透き通るような白い肌のあちこちには幾つも傷がある。
傷口から流れている血が赤くなければ人間とはわからない、そんな外見だった。
「あの」
とんとんと肩を叩いてみる。応答は無い。
まさか、と内心ドキドキしながらアンジェは脈を取った。
トクン、トクン。
規則正しく打つ脈にほっとして、アンジェは少年を抱き起こした。虚ろに開いた目から、本で見た猫のような明るい黄緑色の瞳が覗く。
――宇宙人?
子供じみた疑問が脳裏を過ぎる。
湖に落ちたのだろうか。それとも昨日の雨に打たれたのか。
少年のずぶ濡れの体は冷え切っていた。
アンジェはその小柄な少年を背負い、来た道を戻る事にした。少年が枝に引っ掛かって怪我をしないよう気をつけながら坂を登る。
助けようという善意よりは、見捨てない方がいいかなという義務感から。嫌々している訳ではないが、そうしたいと心が動いた訳でもなかった。
少年の人間離れした髪の色がアンジェの一番好きな色だったのも、助けを差し延べた理由の一つかも知れない。
アンジェが家に着いた頃、対岸から出帆した二隻の船が静かな湖の水面に穏やかならぬ波紋を描いていた。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
少年をソファに横にならせ、アンジェはお湯を沸かした。二階から新しい服と何枚かのタオルを持って来て、濡れた服を――正確には布を――着替えさせる。
少年の細い体を拭いてやりながら、アンジェはあることに気が付いた。
傷口から流れている血が赤くなければ人間とはわからない、そんな外見だった。
「あの」
とんとんと肩を叩いてみる。応答は無い。
まさか、と内心ドキドキしながらアンジェは脈を取った。
トクン、トクン。
規則正しく打つ脈にほっとして、アンジェは少年を抱き起こした。虚ろに開いた目から、本で見た猫のような明るい黄緑色の瞳が覗く。
――宇宙人?
子供じみた疑問が脳裏を過ぎる。
湖に落ちたのだろうか。それとも昨日の雨に打たれたのか。
少年のずぶ濡れの体は冷え切っていた。
アンジェはその小柄な少年を背負い、来た道を戻る事にした。少年が枝に引っ掛かって怪我をしないよう気をつけながら坂を登る。
助けようという善意よりは、見捨てない方がいいかなという義務感から。嫌々している訳ではないが、そうしたいと心が動いた訳でもなかった。
少年の人間離れした髪の色がアンジェの一番好きな色だったのも、助けを差し延べた理由の一つかも知れない。
アンジェが家に着いた頃、対岸から出帆した二隻の船が静かな湖の水面に穏やかならぬ波紋を描いていた。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
少年をソファに横にならせ、アンジェはお湯を沸かした。二階から新しい服と何枚かのタオルを持って来て、濡れた服を――正確には布を――着替えさせる。
少年の細い体を拭いてやりながら、アンジェはあることに気が付いた。



