白人は自供の中で、泣きながら言ったらしい。
日本の女子高生と付き合い、騙されて毎日働いて貯めてたお金を全て奪われたと……。
だから同じような女子高生を見ると、彼女を思い出し仕返しをしてやりたくなった。
何度か同じような犯行に及んだけど、結局は最後まで傷つけることができなかった。
きっとあの白人さんは、本当に彼女のことが好きだったんだと思う。
異国で出会い、信じて、愛した。
だけど、突然の裏切りにどうすることもできず、心が氷のように冷たく凶器のようになってしまった……。
「かわいそう」ってぽつりと呟いた私に、おまわりさんは言ったんだ。
「確かにかわいそうかもしれない。
けれど、そこから犯罪に手を伸ばしたら、あの人は被害者から加害者に変わり、また被害者を生む。
どんなに辛くても、犯罪の連鎖の中に入ってはいけない。
連鎖は悲しみしか生まないんだから」
その時のおまわりさんの顔はとても真剣で、制服を着てないのに警察官の姿をしていた。
確かにそう……
犯罪は悲しみしか生まない。
どんなに苦しくても、自分の手で悲しみを生みだすようなことはしちゃいけないんだ。
絶対に。