「えぇ、もちろん。頑張ってね、依子さん」
「はい。早く仕事に慣れるように頑張ります」
お母さんのことを誤解していた。
そう結論が出たはずなのに、私とお母さんのあいだに言いようのない違和感を感じる。
――なんだろう……。
なにが違うんだろう……。
笑い声さえも響くこの客間は、人から見れば和やかなように見えるだろう。
でも、私だけが一人、この空間から切り離されているような錯覚に陥る。
お母さんの笑顔がそうさせているのか。
後ろめたいことがある私自身が原因なのか。
それは、誠司とともに月島家を後にし帰途についてからも、分からなかった。


