そう滅多にない出会いと再会に浮かれているからじゃない。

聡に誘われたとき、拒むことだってできた。あのユーロ紙幣を突き返すことだって。


「どっち?」


カフェでユーロ紙幣を見せたときと同じように、聡は強引な選択を迫る。

言ってしまえば、私はおそらく軽い女だという烙印を押されるに違いない。


これからも会おう。

万が一、そんな言葉が聡の口から零れたら、私は『そういう女』に成り下がるんだろう。


「……分からない」


私は自分の気持ちを正直に打ち明けることができなかった。

聡はそんな私に、苦笑しながら言った。


「ごめん。あまりにも酷い質問だったな」