乱れたシーツのうえに腰を下ろしたまま、ベッドの下に散乱した下着に手を伸ばす。
体重を支えるためにベッドに付いていた私の右手を、聡がギュッと握りしめた。
「行くなよ。今日ぐらい……いいだろ?」
今日ぐらい……――。
そうか、私は一晩限りの夜伽の相手だったってことなんだ。
「――いいよ」
伸ばした手を引っ込め、私は再び乱れたシーツのうえに身体を委ねる。
きっと今夜、誠司は電話をかけてきたはず。私が電話に出るまで、何度も、何度も。
そして今、きっと不安になっているに違いない。
どこに行ったんだ?
――私は、あなたを裏切って、違う男に抱かれていました。