私が住んでいるマンションからカフェまでは、歩いて十分。 近所だからすぐ着くのに、私は全力で走った。 いますぐ会いたい。 ただ、その思いから――。 たしか今日の夜は、誠司から電話がくることになっている。 でも、私のバッグの中には携帯が入れられていない。 わざと、置いてきた。 聡との時間を、誰にも邪魔されたくなかったから。 恋人でもある誠司にでさえも……。