フィレンツェでの公式な挙式だから、一般的なものとは違っていろいろな公証手続きが必要だった。 『決めた。私、ここがいい!』 『本当に? でも、バージンロードも何もないぞ?』 『うん、いいの』 聡がいるのなら、それでいい。 聡という大好きな人に包み込まれた、幸せの絶頂にいた私。 ――でも、現実は甘くなかった。 あの事件と引き換えに私が手に入れたのは、聡との永遠の別れ。 そして、今でも絡みつく聡との思い出。 .