神様は気まぐれなのか、私を試しているのか。 レジで私たちの会計を担当したのは、聡だった。 香織は顔をほころばせ、「今日は依子のおごりね」と言って、先に店を出て行く。 「……久しぶり」 聡は視線を伝票に落としたまま、手際よくレジを打ちながら言う。 「うん。びっくりした、こんなところで会えるなんて」 「……俺は前から知っていたよ」 レジに打ち込んだあと、聡は私をまっすぐに見て、確かにそう言った。 ……前から知っていた、と。 「……知って……いた?」