誠司は、とても誠実な人間だ。 生真面目で、優しい。 けれど優しいだけではなく、私が間違ったことをすればきちんと叱ってくれる。 生真面目と言っても、自分の考えをしっかりともっている。 そして何よりも、私を心の底から愛してくれている……――。 「フィレンツェはどうだった?」 「うん、楽しかったよ」 誠司が淹れてくれるコーヒーはいつも美味しい。 ――……いや、美味しかった。