けれど、苦難をともに乗り越えた先に待っていたのは。


涙が出るほどのすばらしい景色と。

一緒に遊んだ友達と「じゃあ、また明日」と普通に別れるような、そんな、あっけない彼との別れだった。



聡とはそれきりで、クーポラの頂上で再度顔を合わせることも。

地上に向かって降りる、あの長い階段の途中で出会うこともなかった。

まるで夢の中での出来事だったかのように、帰国するまでのあいだ、聡は私の目の前に現れなかった。



そう。

帰国するまでのあいだは……――。