フィレンツェの町並みを横一列になってカメラに収めていた、日本人三人組。 そのなかの一人・香織が、振り返ると同時に私に気づき、手を挙げた。 「見つかってよかったな」 聡はにこりと笑うと、私のそばから少しずつ距離を置き始める。 「ありがとう。一緒に上ってくれて、すごく助かった」 「いえいえ、こちらこそ」 その距離は、しだいに広がっていく。 「それじゃ、いい旅を」 「聡も」