「そういえば、友達は?」 「あ、そうだった」 聡に言われて、理恵子たちの存在をようやく思い出す。 長い階段を一緒に上った聡と、フィレンツェに来た時から行動をともにしていたような錯覚に襲われていた私。 我に返って、理恵子たちの姿を探す。 フィレンツェの町並みを眺めている人たちの顔は、どれも晴れ晴れとしている。 あれだけの苦難を乗り越えたんだもの。 自然と笑みがこぼれるのは当然のことだ。 「あっ、依子ー!」