「私だったら、一緒に行く人がいなかったら諦めるけどな」 息を切らせ、汗を拭いながら上る。 身体は悲鳴を上げているけれど、彼との会話は楽しくて、私の足は自然に上へ上へと上り続けていた。 「……名前は?」 話の流れで、躊躇することなく彼に名前を訊いてみる。 「伊佐 聡(イサ サトル)」 「伊佐さ……っ」 彼の名を口にしてみると、とんでもなく言いづらい。 噛んでしまった私に、彼は笑って言った。