ようやく穏やかな笑顔を見せた聡に、私は出会ったばかりの頃のことを思い出す。
安々と手に落ちた私も、バカだったな、と。
聡だけを責められる立場じゃない。私にも落ち度はあったんだ。
「……指輪よりも先に、渡すものがあるよ」
言って、聡はジーンズのポケットを探り、一本の鍵を取り出した。
「この部屋の合鍵。後ろめたいことは、もう何もない」
そう言ったあと、聡は私の手を取り、左手の薬指にゆっくりと指輪を嵌めた。
「……なんか、緩いな」
「うん……」
僅かに緩い指輪を眺めながら、私たちは顔を見合わせ笑う。
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