「――隣の町に住んでいるよ。住所は、ここに書いてある」
言って、誠司は書類の中央部分を指でトントンと叩いた。
「……行っておいで、彼のところに」
「……無理だよ。私は誠司と結婚するんだから……」
誠司を、また裏切るなんてできない。
今回もまた、結婚寸前のところで、聡のところに行くなんて……。
「依子、俺に同情はするなよ」
「……同情なんかじゃない。いいの、もう……聡のことは……」
「依子!」
何度言われても、私は聡のもとには戻らない。
悲しいくらいに、真実がすべて明らかになっても……――。
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