力なく問いながら、私はゆっくりと聡を見た。
瞬間、顔を上げなければ良かった、と、ひどく後悔した。
聡の顔に表情はなく、冷たい瞳で私を見据えていたから。
そこにいたのは、私を優しく抱きしめ、私への切実な想いを語っていた聡ではなかったから。
「依子と誠司さんを引き離すためだよ。玲子さんは、依子を月島家の嫁にふさわしくないと嘆いていたから。自分の会社にとってプラスになる大企業の社長令嬢を、月島家の嫁にと望んでいたんだよ」
「そんなこと……、私に直接言えばいいじゃない。こんな卑怯なこと……」
最後まで言い終わらないうちに、聡は呆れたように言葉を重ねた。
「俺に言うなよ。俺はただ、玲子さんに頼まれただけだから」
「……結婚のことも嘘だった?」
いまだ溢れ出る涙を拭いながら訊くと、聡は一呼吸おいてから口を開いた。


