「――月島グループの社長と、何か関係があるの?」
それまで冷蔵庫の中を漁っていた聡の動きが、ピタリと止まった。
その様子が、私の胸を突き刺す。
「……凄腕の女社長……だっけ?」
聡はそのままの姿勢で、ボソボソと呟くようにして言う。
「噂でしか聞いたことないな。面識もないし」
「……社長がね、私に訊いたのよ? 『聡は元気?』って」
聡の動きを見たくなくて、私は言い終えたあと俯いた。
私の視界に入るのは、一番気に入っている薄紅色のスカート。
その優しい色合いが次第にぼやけ始め、ぽたぽたと零れ落ちた涙が不ぞろいの水玉模様を作っていく。
息苦しい沈黙のなか、冷蔵庫の機械音が響いた。


