「あの鳥は……、自由に空を飛んでいた方がいい」 「えっ?」 「飼い主に従順な鳥だよ、あれは。餌を与えれば、何でも飼い主の言うことを聞く。でも、いつも気になっていた。いつか飼い主から逃げ出すんじゃないかってね」 ――たかが、鳥……でしょう? あのとき鳥の話をした社長と同じように、副社長は真剣な顔で話す。 鳥がいなくなった。早く戻ってくるといいね。 その程度の話では終わらない。 「きっと今頃、番(つがい)の雌鳥でも見つけたんだろう」 「番の……雌鳥……」 「じゃあ、そろそろ私は行くよ」