話が突然飛び、私は顔をしかめながら身体の向きを変え、聡を見た。

聡はいつになく真面目な顔をして、私を見る。


湯気のこもった浴室のなか。

少しだけ温いお湯が張った、白濁色のバスタブ。

私はのぼせ気味の頭で、聡の次に続く言葉をしっかりと聞いた。


「――結婚しよう、依子」


きっと私は、ぽかんと口を開け、だらしない表情になっていただろう。

聡はそんな私を前に、笑うこともせず、真面目な顔のまま言葉を重ねた。


「今すぐは無理だけど……。俺がちゃんとした職に就いて、安定した収入を得るようになったら……。依子もすぐに返事しなくていいよ。ゆっくり考えて」