「――聡!?」


今日聡は出勤日だったから、まさかここにいるとは思わず、私は驚きのあまりその場から動くことができなかった。


「今日は客が少なくてさ。早上がりしたんだ」

「でも、どうしてここに……」

「今日が初日だっただろ? 心配で来たんだ」


まだ動こうとしない私に、聡の方から近づいてくる。

自然な流れで、聡は私の肩をぐいと引き寄せた。


そのまま私は、自分のマンションに帰らず、真っ直ぐに聡のマンションへと向かった。

部屋に入り、ソファに腰を下ろすと、聡はすぐに今日の会社でのことを訊いてきた。