「だけど、どうして私……なのかな」


頼りなさげに訊く私に、聡は笑って返した。


「ほら。そう思うってことは、社長をまだ元彼氏の母親だって思っているからだよ」

「あ……」

「さ、食べるぞ。ウェイターが次の料理を運びたくてウズウズしているみたいだから」


聡の視線のむこうに、こちらを気にしている様子のウェイターがいた。

私と聡は顔を見合わせ、笑い、そして前菜を食べ始めた。