「バイトだよ。でも……、こんな生活も長くは続けられるもんじゃないからな。いずれは真っ当な職を得て、人並みの生活をしないとな」


聡は自嘲気味に笑いながら言うけれど、その言葉に重みを感じた。

オシャレなカフェでのバイト。

高級なマンションと車。

それはすべて、お金持ちだという親があってこその生活。

いずれは得たいという真っ当な職も、きっと、将来を見据えた正社員の仕事。

でも今の世の中、正社員といえど、それが真っ当な職に相当するとは言いがたい。


すねかじりだな、と、言葉を付け足した聡に、私は無言で笑みを返した。


「……そろそろ帰らないと。私、明日は仕事だし」


もうすぐ日付を変えようとしている時計を横目で見ながら、私はそれまで横たわっていたベッドからゆっくりと起き上がった。