賑やかな謝恩会は、学長の挨拶で幕を閉じた。

最後の記念にと、卒業生は会場で散り散りになって写真を撮ったり、別れの挨拶をしている。


「依子ー。夜の二次会、行くでしょう?」


香織と一緒に会場を出てすぐ、お酒を飲みすぎて顔を真っ赤にした理恵子が、たどたどしい口調で訊いてきた。


「うん、行くよ。何時からだっけ?」

「七時からだよ」


尋ねた理恵子のかわりに、しっかり者の桜が答える。


「ちょっと理恵子ー、大丈夫? 謝恩会でこんなに酔ってどうすんのよ」


言って、香織が、少し乱れた理恵子の着物の胸元を整えた。