あの日の別れ際、誠司は穏やかな笑顔で私にそう言った。
――これまでどおり、何かあった時は依子に連絡するし。
別れたからって、なにも幼馴染の関係まで終わらせることはないだろう?
もちろん最初は拒んだ。
誠司を傷つけ裏切った私が、責められることもなく彼との繋がりを続けていくなんて、あまりにも都合が良すぎるから。
「依子はなんて言ったの?」
私が抱えている胸のうちを、すべて誠司に話すと、彼は優しく諭した。
――もう、終わったことだし。俺は依子以上にいい女を見つけるよ。依子も好きな男と幸せになれよ。
ごめん。ただ頭を下げることしか私にはできなかった。


