「そっか。別れたんだ」

「……うん」


誠司と別れたことを香織に報告したのは、大学の卒業式後に行われた謝恩会の会場だった。


「なんだか寂しいわね。幼馴染でもあったのに、別れてしまったらその関係までも崩れてしまうなんて」


黄金色のシャンパンをひとくち飲んだあと、ほろ酔い加減の香織が寂しそうな瞳で私を見る。


「……そうでもないかな」


あの日、別れが成立したあとに誠司が言った言葉を思い出しながら、私は香織に言う。


「別れてからも、これまでどおり幼馴染として仲良くしていこうって言われた」