既に乾杯すら済ませた、なごやか雰囲気の中、割り込むように明らかな不機嫌さを含んだ低音が響く。


少し遅れて打ち上げに合流したアキトは、一番最初に目に飛び込んできたド派手な美人に真っ直ぐに響く、いかにもわざとらしい低音で問いかけた。



「あら、だってナオちゃんがせっかく誘ってくれたんだもん」


アキトの低音などものともせず、にこやかに話すド派手な美人はナオヤにしがみつくように……というか完全に抱きしめる形で余裕の笑顔をみせた。


その笑顔の作り方が明らかに、長年見慣れた誰かさんに似ていた為、更にアキトの不機嫌さが増す。