「煙草吸っていい?」


「いいよ」



そんなこと、訊かなくたって吸えばいいのに。
そう思いながら、またあのブルーに目を奪われる。
別に物欲しそうな顔した訳じゃないと思うが……



「いる?」


「もらう」



また、火を着けてくれたその指が……、しなやかに曲がる関節が……、綺麗に見えた。
そして、やっぱりこの匂いが好きだと思った。



「ところでさ……」



吐き出す煙にまぎれて、心地いいトーンの声。
惹き付けるのは、煙草のせいか、それとも……
ワンテンポ遅れて、返事を返す。