そして当の本人は、性格上悪気もなければ、あっけらかんとしていて決して悪い人間ではないらしいのだが、当時のアキトのダメージは大きかったようだ。 『俺も若造だったしねぇ。友達だと思ってた野郎がいきなりだしさぁ。おかげで彼女もできなかったし』と笑うアキトがちょっと気の毒に見えた。 「俺はもう、あんまり深くは関わりたくないんだけどね……なかなかそうもいかなくってさ。実際、悪いヤツじゃないし、何より俺の姉ちゃんと仲いいんだよ、アイツ」 困った表情が妙に色っぽいなんて思ってしまった。