バンドを組んでいた当時、確かに久太郎くんはちゃんとした男だったらしい。
顔立ちはどちらかと云うと中性的な感じでメイクをすれば女のコに見えないこともないってのがアキトの見解。
だけど、それっぽい素振りなど無かったと云った。
しかし、アキトがバンドのギタリストと喧嘩になって脱退する羽目になったその日、久太郎くんは目覚めてしまったらしい。
自分の中の『女』に。
そして、それを呼び醒ましたのは紛れもなく、その時のアキトだと彼は云うとのこと。
「何かさぁ、喧嘩する俺の姿に惚れたとか云い出してさぁ。それから普通に女装とかも始まって、アタックされまくり……泣きそうだったよ、俺」



