「久太郎って云うんだ。アイツの名前」
えっと………
オバケですか?
そういえば、オバケがコワイって云ってたし……
じゃなくって!
「……男なの……?」
ちらっと隙間に見えた細い足首の先には確かに女物のヒール。
しかも、私ですら滅多に履かない10以上の高いヒールだったはず。
「ちゃんと女に見えたなんて聞いたら、アイツめちゃくちゃ喜ぶよ」
「いや……足しか見えてはいないんだけど、その、声とか女の人だったよ」
「ああ、アイツ昔から声高いからなぁ」
そこから始まった昔話は確かにトラウマ的であり、そしてアキトには悪いけど、やっぱり少し笑える話だった。



