「普通に教えてって云えばいいのに」 「云ったよ。そしたら『そのうちね』って、席立ったじゃん。テーブルに携帯置いたまんまでさぁ」 あれ? そうだっけ? すっかり覚えてないや。 「だから、これは勝手にやっとけってことかな?といい方に解釈してだね。そんで、戻ってきたら全く番号交換する気配もないし、まぁバレたら消されるだけだろうって思ってさ」 「そんなことしてたんだぁ」 わざと怪訝な表情を見せて、アキトを上目に覗き込む。